2005年11月22日

強さと、弱さ。

強さとは、弱さを知ること。
弱さとは、臆病なこと。
臆病とは、大事なものを持っているということ。
大事なものを持っているということは、強いということ…。 

(浦沢直樹「20世紀少年」)

私達が“強い”と思うこと、“弱い”と思うこと、それは実は同意義であるということです。
何も守るものがないというのが強さのことのように思えますが、ただ捨て身になれるだけのことであって裏を返せば無責任にヤケクソになっているだけなのです。

守るものがあると、無茶することができません。
慎重に、安全に、順調に物事が進むように務めようとします。
しかし、世の中の出来事は慎重に安全にしようとしても、その通りになることはまずありません。
今まで当然と思っていた生活・大切な何かを突然失ってしまう…。

そこで初めて考えるのです。「強さっていったい何ですか?」と…。
ボロボロになった自分をちゃんと見ることができないと、誰かが・社会が自分を陥れようとしていると考えるしかありません。自分の殻に閉じこもって他を威嚇するしかないのです。

そこでもう一歩踏み込んで「自分はなんて弱い存在なんだ」と認めてみると、今度は何かを恐れている・臆病になっている自分に気付くはずです。
またさらにもう一歩踏み込んでみる、「自分は何を恐れているのだろう?」と…。
すると、必死に“何か”を守ろうとしている自分に気付くはずです。
その“何か”は生命かもしれません、家族・友人・健康・財産・名誉・信用かもしれません。

でも、もっともっとずっと深く踏み込んだところにあるもの…それは“心”です。
人は自分の心を失ってしまうことが恐ろしいのだと思います。
つまり、“心”があるということは、弱さであり、強さなのです。
だから人は時に傷つき、時に勇気を持てるのではないでしょうか?
傷つき哀しむ心を持っている…それは強いということなのです。

心を持ってこの言葉をくるっと一巡した時に見えてくるもの…それは“希望”ではないでしょうか?
逆に、心がないということは、絶望しませんが、希望を持つこともないということです。
強さとは“希望”であり、弱さとは“絶望”である…そしてそれらは同じものである…そんな意味があるように思えます。

参:人は失うことを恐れ、自ら“それ”を捨ててしまう。 村上春樹「海辺のカフカ」




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この記事へのコメント
はじめまして。
先週から時々こちらにお邪魔させてもらっているママと言います。
ちょっと気分が沈んでいるときだったので
心にしみて泣けてしまいました。

私は2児のシングルマザーです。
子ども達を守っていかねば!と我ながら
強いなぁって思ったり、かといって
時には弱かったりするときもあります。

『強さと、弱さ。』を読んで、そのままでいいのかな、
ありのままの自分を受け入れればいいのだと
思いました。

新着エントリーをしました。
楽しみにしています。


Posted by ママ at 2005年11月28日 01:36
はじめましてママさん。
コメントしていただいて本当にありがとうございます。
子供を命賭けで守ろうと考えると、色々な心が表に表れますよね。

>ありのままの自分を受け入れればいい

そのとおりだと思います。
言葉だけではうまく説明できませんが、受け入れるってことは、許すということではないでしょうか?
苦しさや不安や劣等感を許してみる…そんな感覚があるときっと自分の今いる現実をうまく自分のものとして呑みこむことができると思います。
大きく呼吸して空気を吸い込むように、不安や苦しさを吐き出すのではなく呑みこむ…ゴクンとのどを鳴らしてやってみると自分が大きな存在になったような感覚を味わえるはずです。 是非お試しを!
これからもお付き合いお願いいたします。
Posted by ayanpa at 2005年11月29日 00:53
p.s. 100万回生きた猫は私は大好きで娘にいつも読み聞かせています。
Posted by ayanpa at 2005年11月29日 00:55
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