2006年06月13日

私にはもうなにもない だからたくさんのものをつくろうと思う

BY ふかさか南 「もっとちかくにきてよ―鬱に悩まされた日々の記憶

『信じていたことが全て崩れ去り、絶望の世界に入った。
生きているという実感がまったく湧かない日常。
過去も未来もベールに包まれてしまい、
自分の悲鳴と共に過ごす夜が続いた。
毎日死ぬことばかり考えていた。
そんな時、唯一吐き出せる手段が詩と絵画だった。』
本当の自分に出会う方法。それは、自分という自我を全て消し去ることです。
何故なら、自分を自分と思いたらしめているものは、どこにもないからです。
肉体?声?学歴?財産?地位?過去?現在?未来?寿命?宗教?社会?国家?…。
あなたに今見えているものや聞こえているものは、実はあなたの想像…つまり両耳の間でしか
起こっていないのです。
だから、自分を自分と思っているものは、時間・空間・人によって全部違うのです。

  * * *  
『私は「死」にすがりたい』
自分の存在を打ち消して、打ち消して、それでもこの“思い”だけは打ち消すことができない。
“思い”自体までをも打ち消すためには、「死」の選択しかないと考えてしまう。
でも、死ぬ覚悟すら自分には用意することができない。惨めだ…。
それでいいんです。そうして生きてこそ、そのギリギリっと“思い”がねじこまれた、“そこ”に誰でもない“自己の存在”を知るのです。

  * * *
『私が生きてきた
あんなことこんなこと
いろんなことがぐるぐる回り
私は声を出して泣く
こんなに小さな私なのに
夕陽の前では一人前』
「私」とは誰なのか?
ハイデッカーやサルトルの言う「実存主義」。
現存在としての自己の中に、さらに新しい存在の意味があります。
つまり、“存在している”ということは、必ずそこに“意味がある”ということです。


  * * *
『行き場のなさがあんしんにぬれた
しゃっくりしたら愛された』
もう逃げることのできない極限状態まで追い詰められると、パチンッ!と何かスイッチが入ったような感覚に包まれます。きっかけは様々、公園を散歩していて草木がざわついた瞬間とか、ふとみかけた人の笑顔のシワとか、一見無意味のようなものが、深い意味を持って何かを伝えてくるときがあります。

そうして自分から全てのものを取り払った“自己の存在”を知ってしまったら、後はもう“創り出す”こと以外に考えることはないのです。今まで“世間体”を“神”のように従ってきた自分が、蛇に騙されて生命の樹の実を食べてしまい、自分が裸であることを知ってしまう。

すると自分の行動に“世間体”は関係がなくなり、実存的に自ら決定していくようになるのです。それを“原罪”というのならば、園から追放され、“自由という不自由”を獲得し、泥にまみれながらでも水蓮のように生きていけばいいのです。

  * * *
『生きるとはくどいことなんだ
人間はくさい
そして、人間はとても愛らしい
愛を知ったときは、あまりの切なさに声すら出なくなる
私には動く心がある
私は生きている』
私達の心は感じる。
私達の心は動かされます。
何を感じ動かされるのか?…それが“自己の存在”です。
感動する心とは、もっと人間らしく生きるということではないでしょうか?
だから、絶望するし、希望も持つことができる。


  * * *
『君は僕に何を望む?
君は僕に何をしてほしい?
あぁ 君が愛しくてたまらない
もっとちかくにきてよ』
だから、僕(君)は君(僕)の望むことをたくさんしようと思います。
いやったらしさも、憎らしさも劣等感も全部ひっくるめて愛しくてたまらない“自己の存在”との和解です。 すると、視界がパーっと開いて色々なものとの“繋がり”を感じることができるのです。
あなたに家族やパートナーがいれば、その人は“あなた自身”なのです。

さあ、“パンドラの箱”はすでに開かれました。
“絶望”が飛び出てあなたはあわてて箱を閉じます。

でも、まだ箱の中に“希望”だけが閉じ込められています。
だから、あなたはその箱をもう一度開くのです。



参: 我思う、故に我あり デカルト
人間とは、人間自身が自ら作るところのもの以外の何者でもない サルトル
全身全霊が宇宙に広がっていくこと…「芸術(人生)は爆発だ!」
相手の中に自分を見つけること…それが愛だ  岡本太郎



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このカテゴリーの記事一覧⇒ 生きること、自立とは
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼ブログランキングに参加しています。クリックで応援していただけると励みになります。

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 生き方へ  
同じカテゴリー(生きること、自立とは)の記事

※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。