2006年05月17日

貧しさとは、豊かさとは

ポケットの中に納められた100円は貧しくないが、
ローンで買ったルイ・ヴィトンの札入れにある1000円の全財産は、
悲しいほどに貧しい。


リリーフランキー著 『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~
      * * * * *
貧乏でも満足している人間は金持ち、それも非常な金持ちです。
だが、金持ちでも、いつ貧乏になるかとびくついている人間は、
冬枯れのようなものです。


シェイクスピア著 『オセロー

生活に“必要なもの”が揃っていれば、それは“金持ち”です。
しかし、それ以上の“快適なもの”を揃えている大金持ちが他にいると、とたんに “貧しい者”になってしまいます。資本原理主義の中では、生活に“必要以上”のものを持って初めて“庶民”であり、“必要過剰なもの”を持って初めて、“金持ち”になります。

   搾取する側とされる側、気味の悪い勝ち負けが明確に色分けされた
  場所で、自分の個性や判断力を埋没させている姿に貧しさは漂うのである。


実際これからの時代は、“勝ち組”“負け組”の二極化が進み、勝ち組は共食いを始め、負け組は自殺者が急増するという予想もされています。年収3000万円以上、資産1億円以上あって、初めて“中流”“小金持ち”とみなされるようです。
日本の平均年収約700万円、その弱肉強食の社会では、我利我利(ガリガリ)と他との競争で勝つことだけが美徳とされ、共利共存の“弱きをたすけ”という情けを持つ余裕すら許されないでしょう。そして必要以上のものを求めて、今の自分を必要以下に見てしまうところに、“心の貧しさ”はやってきます。

貧しい人ほど、外見や容器や量ばかり気にして、肝心の“中身”に意識が向きません。某テレビで“幸せ”について語っている某占い師の身につけた何百万円もする装飾品の数々は、逆にその寂しさと貧しさを語っている気がします。大切なこととは、自分にとって必要なものが何であって、今、苦しくとも自分を楽しませる気持ちがあるか? だと思うのです。 

1000円、100万、1000万、10億、100億、1000億円…。
いったいいくらあれば、人は必要量を満たし満足するのでしょうか?

「10億円くらいあれば“ラク”に暮らせるだろう」…、何のために“ラク”である必要があるのか? 本来ならば、10億円投資しなければ達成できない“夢”があって、初めて設けることのできる基準のはずです。“楽しい”人生と“ラク”な人生の間には、 “死ぬほど生きる”と“死んだように生きる”くらい、かなりおおきな差があります。

年収も、偏差値も、環境も、外見も、結婚相手も、将来も、子供も、“平均”以上でなければ庶民にもなれないという考え方こそ、“貧しい”ことだと思うのです。不足感故の、見栄という名の満足の“虚構”…。

私の思う“豊かさ”の基準は、
「好きな時に、好きなことを、好きなだけ行える自分」があることです。


金がない、自信がない、好きなことがない…そう思い込むとき、本当に自分が貧しく感じます。なぜなら、お金も自信も好きなことも、実は自分で創り出せるものであるからです。たとえ状況を変えることができなくとも、「~だからダメ」ではなく、「~だからこそ」と、自分の心の状態を楽しませることはできるのです。

悲しいときは、オロオロしている自分を楽しめばいいのです。極端に言えば、どんな自分でも、楽しむことはできるはずなのです。「一生お金の心配がなく、遊んで暮らせればいい」ならば、一生お金のかからない遊びをして、楽しく暮らしていけばいいだけのことなのです。

「働きたくない」とは、働く目的がないからです。きっとこんな状態になると、どれだけ時間があっても、どれだけお金があっても、満足に自分を楽しませることができないのだろうと思います。ある大富豪の様に、お金を持ってしまったために、誰も信じることができなくなって、孤独死してしまうかもしれません。

確かに、お金はいっぱいあった方が良いし、自由な時間もいっぱいあった方が良い…私の本音は、のどから手が出るほど欲しい。でも、それは、海水でのどの渇きをいやさんとするがごとく、果てしないのです。「金払っているんだから、俺は客だぞ!」…お金を持っているからといって偉いわけじゃない、お金の遣い方を知っている人、その品格・態度を持っている人が偉いと思います。

豊かさとは、人と比べた相対的なものでなく、自分の中にある“絶対的”なもので決まります。私は、内面からにじみ出る外面の“豊かさ”を求めていきたいと思います。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このカテゴリーの記事一覧⇒ お金に関する名言
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼ブログランキングに参加しています。クリックで応援していただけると励みになります。

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 生き方へ  
同じカテゴリー(お金に関する名言)の記事
悪銭身に付かず
悪銭身に付かず(2005-09-03 00:00)


この記事へのトラックバック
つい何十年か前には、科学が発達すると、人々の食事は流動食のようなものとかビタミン剤のようなものに、とって代わられるのではないかという考えがあった。

これを一粒飲めば一日...
豊かさとは、ムダをすることかもしれない 【貧乏人の正体】at 2006年11月11日 00:29
 こんにちわ。おじゃまします。

 貧乏人の正体のwebサイト、正式に移転しました。アドレスは

http://hakase-jyuku.com/poorman/

です。

このサイトは、ボクが大学時代に出会った友人たち...
貧乏人の正体webサイト、移転しました。【貧乏人の正体】at 2007年01月08日 18:17
この記事へのコメント
ayanpaさん、はじめまして。たまたまジャンプしてる内に、タイトルに惹かれて時々拝見するようになりました。まだ、拾い読みですが、とても読み応えがありますね。そして、私が拾い読みした箇所には、いつも私に必要な言葉が散りばめられていて、「じ~ん」と感動してしまいます。勝ち組・負け組みという言葉も、あまり好きではないですが、「心の豊かさ」とは何かが、自分の中でよりはっきりしてきたように感じます。どうもありがとうございます。
Posted by felix at 2006年05月18日 09:48
はじめましてfelixさん。
食べ物を落として、「5秒以内なら大丈夫!」と自信満々に拾い食いしたことのあるayanpaです。
心に効いて頂いて本当にありがとうございます。
そうですね、私も勝ち・負けは死ぬときに初めてしることのできることだと、しかも、自分自身の判断においてわかることだと思いますので、途中経過で組分けされるのは嫌ですね。
私もこのブログを通じて自分自身に言い聞かせているので、実は私自身がわかっていない事が多々あるんですよ。
「豊かさ」は形ではないので、「こう!」と見せるわけにはいかないですね。
コメントありがとうございました。
Posted by ayanpa at 2006年05月18日 22:43
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。